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和歌で読む源氏物語


桐壺源氏誕生〜12才

限りとて別るる道の悲しきに いかまほしきは命なりけり  [桐壺]

「もう、この世ともあなたともお別れしなければなりません、できるならもっと命をながらえたい。」
桐壺の更衣は帝の寵愛を一手に受け光源氏を生む。
しかし桐壺は他の女御のいじめを受け、それが原因で死んでしまう。
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輝く日の宮

源氏と藤壺の最初の逢瀬が描かれていたとされる幻の帖
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帚木源氏17才

身の憂さを嘆くにあかであくる夜は とり重ねてぞ音も泣かれける  [空蝉]

「情けない我が身を嘆いて夜を明かした朝は、鳥の声も私の鳴く声に重なって聞こえます。」
源氏は強引に空蝉と契りを結ぶが、空蝉は心を開かない。
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空蝉

空蝉の身をかへてける木のもとに なお人がらのなつかしきかな  [光源氏]

「蝉の抜け殻のように着物を残していってしまったあなたですが、それでも恋しく想っているのです。」
 忍んできた源氏に気づきとっさに空蝉は着ていた薄絹をのこして逃げる。
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夕顔

見し人のけぶりを雲と眺むれば 夕の空もむつましきかな  [光源氏]

「かつて契りを結んだ人を火葬にした煙があの雲かと思って眺めていると、この夕方の空も慕わしいことです。」
 源氏と一夜を共にした夕顔は物のけに襲われ命を落とす。
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若紫源氏18才

おもかげは身をも離れず山桜 心の限りとめて来しかど  [光源氏]

「山桜の花のようなあなたの面影が私から離れないので、心のすべてをそちらに残してきたのですが・・・」
 幼い若紫を見染めさらってきてしまう。
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見てもまた逢ふ夜まれなる夢のうちに やがて紛るる我が身ともがな  [光源氏]

「また逢うこともないのだから、いっそ夢の中に入って消えてしまいたい。」
父帝の后である藤壺と密通してしまう源氏。

よ語りに人や伝へん たぐひなく憂き身を 醒めぬ夢になしても  [藤壺]

「夢の中に消し去ってしまっても、人のうわさになったら・・・」
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末摘花

なつかしき色ともなしに何にこのすゑつむ花を袖にふれけむ  [光源氏]

「心ひかれたわけでもないのに、なんでこんな女の袖にふれてしまったんだ。」
一夜を共にした後、末摘花のあまりの醜さに驚愕する源氏。
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紅葉賀源氏19才

もの思ふに立ち舞ふべくもあらぬ身の 袖うち振りし心知りきや  [光源氏]

「あなたのことを思って舞うこともできないほどなのに、あなたはこの心を知っていますか。」
藤壺の前で青海波をまう源氏。
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花宴源氏20才

照りもせずくもりもはてぬ春の夜の おぼろ月夜にしくものぞなき  [大江千里・新古今集]

「春の夜の、明々と照っているのでもなく、曇っているのでもなく、おぼろな月にまさるものはない。」
この歌をくちずさみながら歩いてきた朧月夜を突然襲い一夜を共にしてしまう。
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源氏22才

嘆きわび空に乱るるわが魂を 結びとどめよしたがひのつま  [葵の上(六条御息所の生き霊)]

「嘆き悲しんで空にさまよっている私の魂を、なんとかつなぎとめておいて下さい。」
身ごもった葵上に六条御息所の生き霊が獲りついて殺してしまう。
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あやなくも隔てけるかな夜をかさね さすがに馴れし夜の衣を  [光源氏]

「どうしてだかこれまでは何もしない夜を重ねてきて、もう夜の添い寝には慣れたでしょう。」
幼い紫の上と夫婦の関係になり、紫の上はとまどう。
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賢木源氏23才〜25才

暁のわかれはいつも露けきを こは世に知らぬ秋の空かな  [光源氏]

「あなたとの別れはいつも涙で濡れていたが、今朝こそは今までになく悲しい朝です。」
伊勢に下ることになった六条御息所との別れ。
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月のすむ雲居をかけてしたふとも この世の闇になほやまどはむ  [光源氏]

「澄んだ世界に憧れようとも、この世の闇に惑うこともあるでしょう」
藤壺が出家し源氏は悲しむ。
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花散里

橘の香をなつかしみほととぎす 花散里をたづねてぞ訪ふ  [光源氏]

「橘の香りを懐かしんで来たほととぎすのように、私も橘の花の散るこの里を訪ねてきました。」
花散里との再会。
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須磨源氏26才〜27才

生ける世の別れを知らで契りつつ 命を人に限りけるかな  [光源氏]

「生き別れなどというものがあるとは知りませんでした。命のある限り一緒にいられると思っていたのに」
弘徽殿の女御の策略で源氏は自ら須磨へ行くことになり紫の上と離れ離れになる。

惜しからぬ命にかへて目の前の 別れをしばしとどめてしがな  [紫の上]

「私の惜しくない命に代えても、この別れを少しでも引き伸ばしたい」
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明石源氏27才〜28才

むつごとを語りあはせむ人もがな 憂き世の夢もなかばさむやと  [光源氏]

「愛の言葉を語り合う人がいれば、悩みの多いこの世の夢も覚めてしまうでしょう」
須磨から明石に移った源氏は明石の君と出会う。

明けぬ夜にやがてまどへる心には いづれを夢とわきて語らむ  [明石の君]

「明けることのない夜に惑える私の心は 夢か現実かもわかりません」
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澪標源氏28才〜29才

みをつくし恋ふるしるしにここまでも めぐり逢いける縁は深しな  [光源氏]

「身を尽くして恋い慕ってきたかいがあって、ここでめぐり合うことが出来ました」
明石の君は源氏の子を出産する。

数ならでなにはのこともかひなきに などみをつくし思いそめけむ  [明石の君]

「数のうちに入らぬ私なのに、どうして身を尽くして慕ってきたのでしょう」
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蓬生

たづねてもわれこそとはめ道もなく 深き蓬のもとの心を  [光源氏]

「みずからでも訪ねていって問おう、深い蓬にうもれていたあなたの深い心を」
荒れ果てた末摘花の屋敷を訪ねる源氏。
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関屋

わくらばに行きあふみちを頼みしも なほかひなしや潮ならぬ海  [光源氏]

「偶然行き会ったけれど、会うことも出来ませんね、海でもないので逢う甲斐もありません」
石山寺への参詣の途中、久しぶりに空蝉と出会う。

逢坂の関やいかなる関なれば しげきなげきの中を分くらむ  [空蝉]

「逢坂の関なのに会うことができないのですね、草の茂れるなかで嘆いています」
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絵合源氏31才

別れ路に添へし小櫛をかごとにて はるけき仲と神やいさめし  [朱雀院]

「別れのときに挿した櫛にかこつけて 神は二人の仲を裂いてしまうのでしょうか」
六条御息所の娘である梅壺の女御が入内することになり、朱雀院は悲しむ。
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松風

契りにしかはらぬ琴の調べにて 絶えぬ心のほどは知りきや  [光源氏]

「明石で約束したときの琴の調べのように、今も変わらない私の心を知っていますか」
明石の君を都に迎え久しぶりに再会する源氏。
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変らじと契りしことを頼みにて 松のひびきに音(ね)を添へしかな  [明石の君]

「気持ちは変わらないという約束を頼みにして、松の風に泣き声をまぎらせて待っていました」

薄雲

末遠き二葉の松に引き別れ いつか木高きかげを見るべき  [明石の君]

「生い先の長い二葉の松のような姫君がいつか小高い松のように生長した姿を見ることができるのでしょうか」
明石の君の姫君を紫の上が預かることに。
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生ひそめし根も深ければ武隈の 松に小松の千代をならべむ  [光源氏]

「ふたりの間に生まれてきた宿縁は深いのだから、あの武隈の松のようにきっとふたりで成長した姫の姿を見ることができるでしょう」

入日さす峰にたなびく薄雲は もの思ふ袖に色やまがえる  [光源氏]

「入日のさす峰の薄雲までも この喪服の袖の色と同じようだ」
病に伏せっていた藤壺の死。
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朝顔源氏32才

見しおりの露忘られぬあさがほの 花のさかりは過ぎやしぬらむ  [光源氏]

「昔みた忘れられない朝顔も 花のさかりは過ぎたのでしょうか。」
朝顔の君との再会。
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乙女源氏33才〜35才

心から春待つ園はわが宿の 紅葉を風のつてにだにみよ  [秋好中宮]

「春はまだ遠いですよ、こちらの紅葉でも風の便りにご覧ください」
六条院が完成し、紫の上と秋好中宮は春の御殿と秋の御殿を競い合う。

風に散る紅葉はかろし春の色を 岩音の松にかけてこそ見め  [紫の上]

「風に散る紅葉は軽いですよ、こちらの松の緑もご覧ください」
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玉鬘

恋ひわたる身はそれなれど玉かづら いかなるすぢを尋ね来つらむ  [光源氏]

「夕顔を恋い続けている気持は変わらないけれど 玉かずらの蔓のようにあの子はどのようにしてここへ来たのだろう」
長谷寺へ参詣にきた玉鬘(夕顔の娘)と偶然出会う。
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初音源氏36才

うす氷とけぬる池の鏡には 世にたぐひなきかげぞならべる  [光源氏]

「薄氷の解けた池に世にもたぐいのない幸せな二人が映っている」
新年を迎えた六条院で源氏は紫の上と幸せな時間を過ごす。
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胡蝶

花園の胡蝶をさへや下草に 秋まつ虫はうとく見るらむ  [紫の上]

「秋の虫はこの胡蝶をみてもまだ春がきらいというのでしょうか」
六条院の春の御殿では盛大な宴が催される。
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鳴く声も聞こえぬ虫の思ひだに 人の消つには消ゆるものかは  [蛍の宮]

「鳴く声の聞こえない蛍の光さえ消せないのに、私の恋の光は消せませんよ」
玉鬘に求婚する蛍の宮。玉鬘には多くの求婚者が群がる。
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常夏

撫子のとこなつかしき色を見ば もとの垣根を人や尋ねむ  [光源氏]

「撫子のようなうつくしいあなたをみれば 父君は母君の行方を聞きたがるでしょう」
玉鬘は本当の父親(頭の中将)に会いたがるが、源氏は自分のものにしたいと思っている。
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篝火

篝火にたちそふ恋の煙こそ 世には絶えせぬ炎なりけれ  [光源氏]

「あの篝火にそって上がっていく煙こそ私の恋の消せぬ炎なんですよ」
玉鬘にいいよる源氏。
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野分

吹き乱る風のけしきに女郎花 しをれしぬべきここちこそすれ  [玉鬘]

「吹き乱れる女郎花のように わたしも死んでしまいそうです」
六条院を台風が襲う。源氏はまだ玉鬘に言い寄っている。
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行幸

小塩山みゆきつもれる松原に 今日ばかりなるあとやなからむ  [光源氏]

「これまで何度も行幸はありましたが、こんな盛大なものはこれまでなかったでしょう」
帝の行幸にあたって源氏は歌を送る。玉鬘は帝を見て好意をもつ。
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藤袴源氏37才

同じ野の露にやつるる藤袴 あはれはかけよかごとばかりも  [夕霧]

「共に藤色の喪服を着ている境遇の二人なのですから少しでもいいから私のことを愛してください」
源氏の息子である夕霧も玉鬘を狙っている。
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真木柱源氏37才〜38才

おりたちて汲みは見ねどもわたり川 人の瀬とはた契らざりしを  [光源氏]

「あなたとは深い仲にはなりませんでしたが、三途の川でもほかの男に手を取らせようとは思いませんでした」
玉鬘を強引に射止めてしまったのはなんと髭黒の大将、玉鬘も源氏もショックを受ける。
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梅枝源氏39才

花の香は散りにし枝にとまらねど うつらむ袖に浅くしまめや  [朝顔の前斎院]

「花の香は私のような散ってしまったものには移りませんが、姫君の袖には深く香ることでしょう」
源氏はひさしぶりに朝顔の君に会う。
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藤裏葉

紫の雲にまがへる菊の花 濁りなき世の星かとぞ見る  [太政大臣]

「紫の雲かと思えば菊の花、あなたの姿はこの世の星と見えます」
太政大臣(頭の中将)は栄華を極めた源氏をたたえ昔を振り返る。
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若菜上源氏39才〜41才

目に近くうつればかはる世の中を 行く末遠く頼みけるかな  [紫の上]

「目のあたりに変わっていく世の中にあっても あなたとの仲は行く末まで変わらないと思っていましたのに」
女三宮を正妻に迎えたことで紫の上は源氏の心が離れていくことを悲しむ。
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いかなれば花に木づたふ鶯の 桜をわきてねぐらとはせぬ  [柏木]

「どうして花から花へ渡っていく鶯は、桜だけをねぐらとしないのか」
柏木は女三宮を偶然垣間見て好きになってしまう。
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若菜下源氏41才〜47才

恋ひわぶる人のかたみと手ならせば なれよ何とて鳴く音なるらむ  [柏木]

「恋こがれている人の代わりと思ってかわいがっているのに、おまえはどうしてまだ鳴くの」
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明けぐれの空に憂き身は消えななむ 夢なりけりと見てもやむべく  [女三宮]

「夜明けの暗い空に消えてしまいたい 夕べのことは夢だったと思いたい」
柏木は女三宮と一夜を共にする。
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わが身こそあらぬさまなれそれながら そらおぼれする君は君なり  [六条御息所の怨霊]

「私はこんなあさましい姿になりはてましたが いつまでもとぼけているあなたは変わりませんね」
六条御息所は怨霊となって紫上に獲りつく。
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柏木源氏48才

誰が世にか種はまきしと人問はば いかが岩根の松はこたへむ  [光源氏]

「いつか誰かに誰が種を蒔いたのかと聞かれれば 岩根の松のようにかわいいこの子は何と答えるだろうか」
女三宮は柏木の子を宿す。それを知った源氏に睨まれたことで柏木は寝込み死んでしまう。
源氏は生まれた子を抱いて自分の過ちを振り返る。
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横笛源氏49才

笛竹に吹き寄る風のことならば 末の世長きねに伝へなむ  [柏木の亡霊]

「笛竹に吹き寄る風、どうせなら末永くこの子に伝えたい」
夕霧は柏木が残した横笛を譲り受けるが、夢に現れた柏木の言葉に疑問を抱く。
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鈴虫源氏50才

おほかたの秋をば憂しと知りにしを ふり捨てがたき鈴虫の声  [女三宮]

「秋といえば悲しいものとはわかっているのですが、鈴虫の声を聞くと様々のことが思い出されます」

心もて草のやどりをいとへども なほ鈴虫の声ぞふりせぬ  [光源氏]

「みずから出家したあなたですが、いまだに鈴虫の声のようにお美しい」
女三宮は出家し、源氏は悲しむ。
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夕霧

荻原や軒端の露にそぼちつつ 八重立つ霧をわけてゆくべき  [夕霧]

「軒端の外の萩の原の露に濡れながら 霧の中を淋しく帰ります」

わけゆかむ草葉の露をかごとにて なほ濡れ衣をかけむとや思ふ  [女二宮]

「あなたが踏み分けて行く草葉の露にかこつけて まだ私に濡れ衣を着せようとなさるのですか」
夕霧は亡くなった柏木の未亡人女二宮に強引に迫り、一夜を共にする。
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御法源氏51才

おくと見るほどぞはかなきともすれば 風に乱るゝ萩の上露  [紫の上]

「起きては見ましたが私の命は 風に乱れる萩の上露(うわつゆ)のようにはかないものです」

ややもせば消えをあらそふ露の世に 後れ先だつほど経ずもがな  [光源氏]

「ともすれば先を争って露のように死んでゆく世の中ですが、私も一緒に死にたいものです」

秋風にしばしとまらぬ露の世を たれか草葉のうへとのみ見む  [明石の中宮]

「秋風に吹かれとどまることのない露を 誰が草の上だけのことだとおもうでしょうか」
紫の上は源氏と明石の中宮に看取られて亡くなる
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源氏52才

もの思ふと過ぐる月日も知らぬまに 年もわが世も今日や尽きぬる  [光源氏]

「もの思いにふけっているうちに 今年も私の年も今日で尽きてしまうのですね」
源氏は死を覚悟する。
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雲隠

帖名だけで本文は残っていない。あったとすれば源氏の死が書かれているはずである。
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匂宮薫14才〜20才

おぼつかな誰に問はましいかにして はじめも果ても知らぬわが身ぞ  [薫]

「生まれもこの後もなにもわからない私は いったい誰に問えばいいのだろう」
薫は自分の出生の秘密について思い悩む。
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紅梅薫24才

心ありて風の匂はす園の梅に まづ鶯の訪はずやあるべき  [按察大納言]

「こころがあって風が匂いを送る園に 鶯が来ないはずがありません」
按察大納言は自分の娘を匂宮の嫁がせようとするが。
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竹河薫14才〜23才

流れての頼めむなしき竹河に 世は憂きものと思いしりにき  [薫]

「時は流れ竹河を歌った頃の希望もなくなり 世の中は悲しいものと知りました」
玉鬘の姫君を薫は好きだったが、冷泉院に嫁いでしまう。薫は悲しむ。
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橋姫薫20才〜22才

橋姫の心をくみて高瀬さす 棹のしづくに袖ぞ濡れぬる  [薫]

「橋姫のようにこの山里で暮らしているあなたを思うと 涙で袖が濡れてしまいます」

さしかへる宇治の川長(かわおさ)朝夕の しづくや袖を朽たしはつらむ  [大君]

「宇治川の船頭のように 私の袖も涙で朽ちてしまいます」
薫は宇治の八の宮の姫君、大君(おおいきみ)を垣間見て、好きになってしまう。
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椎本薫23才〜24才

山桜匂ふあたりに尋ねきて おなじかざしを折りてけるかな  [匂宮]

「山桜の匂う宇治まではるばる訪ねてきて あなたが挿しているのと同じ花を折ってきました」

かざし折る花のたよりに山がつの 垣根を過ぎぬ春のたびびと  [中の君]

「私ども住まいを訪ねてくださったのは 花を折るついでだったのでしょう」
匂宮は大君の妹、中の君に近づこうとする。
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総角薫24才

あげまきに長き契りを結びこめ おなじ所によりもあはなむ  [薫]

「あげまき結びに末長い契りをこめて 一緒に暮らしたいものです」

ぬきもあへずもろき涙の玉の緒に 長き契りをいかがむすばむ   [大君]

「つなぎとめることも出来ない涙の玉なのに 末長い契りなど結ぶことは出来ません」
薫は大君に迫るが、大君は拒む。
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早蕨薫25才

ながむれば山よりいでてゆく月も 世にすみわびて山にこそ入れ  [中の君]

「山から出た月もこの世にすみ侘びて山に帰ってゆく 私もそうなるのでしょうか」
大君が亡くなる。匂宮は中の君を貰うことになり都へ連れ帰る。
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宿木薫24才〜26才

かほ鳥の声もききしにかよふやと しげみを分けてけふぞ尋ぬる  [薫]

「かほ鳥の声も以前聞いたことがあるように思えて 茂みをかき分けて訪ねてきました」
薫は大君にそっくりな浮舟を見つけ好きになる。
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東屋

形見ぞと見るにつけては朝露の 所せきまでぬるる袖かな  [薫]

「大君の面影をこの人に見ながら進んでいると 宇治川の朝露と涙で袖も濡れてしまいます」
薫は浮船を宇治へ連れて行く
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浮舟薫27才

長き世を頼めてもなほ悲しきは ただ明日知らぬ命なりけり  [匂宮]

「あなたとの行く末を誓っても 悲しいのは明日の命もわからないことです」
匂宮は強引に浮船と一夜を共にし、浮船も匂宮を愛してしまう。

心をば嘆かざらまし命のみ 定めなき世と思はましかば  [浮舟]

「わからないのが命だけならば なにも悲しんだりはいたしません」
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峰の雪みぎはの氷踏み分けて 君にぞまどふ道はまどはず  [浮舟]

「峰の雪や水際の氷を踏み分けても道に迷うことはないけれど、君には心が迷ってしまう」
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のちにまたあひ見むことを思はなむ この世の夢に心まどはで  [浮舟]

「この世の夢には惑わされずあの世でまた会うことを願っています」

鐘の音の絶ゆる響きに音をそへて わが世つきぬと君に伝へよ   [浮舟]

「鐘の音が消えてゆくように 私の命も尽きたとつたえて下さい」
浮船は死を覚悟する。
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蜻蛉

ありとみて手には取られず見ればまた 行方も知らず消えし蜻蛉  [薫]

「そこにあるようで手に取ることができない 見ようとしても蜻蛉のようにどこかに消えてしまう」
浮船は宇治川に身を投げる。薫はショックを受けるが、しばらくするとまたいろんな女性と付き合っている。
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手習

身を投げし涙の川の早き瀬を しがらみかけて誰かとどめし  [浮舟]

「涙のような宇治川の早瀬に身を投げた私を 誰がしがらみを架けて助けてくれたのでしょう」
死んだと思っていた浮船は実は横川の僧都に助けられて生きていた。
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夢浮橋薫28才

法の師と尋ぬる道をしるべにて 思はぬ山に踏み惑ふかな  [薫]

「僧都のことを仏道の師とあおいできましたが 思わぬ恋の道に踏み惑うことになってしまいました」
薫は浮船に会いに行くが浮船は拒んで会おうとしない。
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